2009年2月7日土曜日

ザ・ゴール 企業の究極の目的とは何か


今年4冊目。読み始めて2度途中で挫折し、今回、3度目の正直で完読した。

本書は1984年に米国で出版され250万部の大ベストセラーになったが日本を脅威と感じていた著者によって日本語訳が17年間許可されなかったといういわく付きの本だ。

”全体最適化”の考え方に基づいて経営をいかに立て直すかという著者の実経験に基づいてストーリーでつづられている。

主人公アレックスはある工場のプラントマネージャー。その工場が赤字続きで、3カ月後には工場閉鎖というところまで追いつめられていた。そこで主人公は、大学時代の恩師ジョナ(ゴールドラット博士と思われる)と運命的な出会いをすることで、思考のプロセスを従来の部分最適や経営指標とは変え、工場を再建するというストーリーである。ストーリーなので読みやすいが、経営学の言葉がちりばめられており、それを解釈するのに手間取る。具体的なノウハウも満載で、大変勉強になる。チョイスを先に読んでいたので、チョイスで物足りなかった部分が補えた感じがした。

”全体最適化” は、”部分最適化” されたものを集めても、達成できないということかもしれない。

ある工程を最適化して効率を追求したとしても、次の工程が滞ってしまえば生産性は落ちる。では、次の工程を最適化すればいいかというと、前の工程とのつながりを無視していれば結果は同じである。つまり一番大切なのは、常に全体を見て全体の目標(これをこの本のタイトル、ゴールと呼んでいるのかな)に向かっているか、近づいているかを基準にしなければならないということである。そして、その中で①ボトルネックを見つけて、②ボトルネックをいかに効率的に活用するかを決め、③②にあわせたプロセスを構築させ、ゴールに近づく成果を上げている。このボトルネックを本書の最後に”制約条件”と置き換えている。

経営再建となると、各部署に号令をかけて一律で業務効率アップに取り組みがちだが、”全体最適化”を考えずに取り組むと”部分最適化”に陥り、結果的に逆に全体としては効果があまり出ない可能性をはらんでいる。

この思考プロセス”全体最適化”は経営以外、たとえば日々の業務ににも応用できそうだ。あるいはみなが経営者になったつもりで自分の日々の業務を考えるのも良いと思う。

日々の仕事上のプロセスやフローやネットワークの改善を提案したり、新しいプロセス、フロー、ネットワークを設計する場合もゴールを決め、常にゴールを見ながら取り組めば、本当に必要なこと、やるべきこと、やりたいことが自然と見えてくると思う。


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